社長は身代わり婚約者を溺愛する
「礼奈。」

信一郎さんは、私を抱き寄せてくれた。

「俺の事、信じて。」

「うん。」

今は、信一郎さんの事を信頼するしかない。

芹香を救えるのは、信一郎さんしかいないのだから。


「信一郎さん、これ。」

私はスマホの中にある、芹香の連絡先を信一郎さんに見せた。

「これは……」

「信一郎さんを信じて、見せるんだからね。」

「ああ。」

信一郎さんは、早速芹香の連絡先を、スマホに登録した。


「繋がるかな。」

信一郎さんが芹香に電話を架けてみると、あっさりと出た。

「黒崎です。ええ、先ほどはお構いもできなくて。」

信一郎さんは、ずっと私の隣にいてくれる。

「ええ。今度、芹香さんとお会いしたくて。」

しばらく話して、信一郎さんは私にOKサインを出した。

「では、その時に。」

電話を切った後、信一郎さんはニコッと笑った。

「今度の週末、芹香さんと二人で会う事になったよ。」

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