社長は身代わり婚約者を溺愛する
「職歴かぁ。」

私は、ベッドに大の字になって寝た。

高校を卒業して、専門学校に入ったけれど、就職できなくて家の工場で働き始めた。

それから、他で働いた事がない。

「こういう時の為に、就活真面目にすればよかったな。」

どこかで、決まらなかったらウチの工場で働けばいいやと思っていた。

でも、その時の事を悔やんでも仕方がない。


私は、メールが来た分だけ履歴書を書き、封筒に入れて送った。

「これでOK。」

後は、明日のWEB面接に備えるだけだ。

「何聞かれるんだろう。」

志望動機は間違いなく聞かれるだろうなぁ。

でも、工場が倒産寸前って事は、言わない方がいいよね。

いろいろ考えている内に、その日は終わってしまった。


翌日。10時に派遣会社のWEB面接があった。

『今回は、事務スタッフとして働きたいと言う事ですね。』

「はい。」

『ええー、経験は……ああ、工場勤務しか今のところないという事ですね。』

面接官の人は、私が入力した履歴を見て、ちょっと表情を曇らせた。

「事務の経験がないと、難しいでしょうか。」
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