海色の世界を、君のとなりで。
頭を小突かれそうになるけれど、星野は振り上げた左手を止めて、何もしないままおろした。
いつもの星野とは違う不可解な行動に首を傾げると、「今日はさすがに駄目だろ」と返ってくる。
「え?」
「……綺麗にしてんだろ。崩れたりしたらいけねえから」
トクン、と決して鳴ってはいけない音が鳴ったような気がして、慌てて視線を空に投げる。
どうか、聞こえていませんように。
この気持ちが、勘違いでありますように。
そっと目を閉じてそんな祈りを、静かに煌めく星々に込めた。