海色の世界を、君のとなりで。
「え、あんたちゃんと言ってきたの?」
「おう」
「じゃあ、無断欠席はわたしだけ?」
さあっと血の気が引いていくわたしに飄々と頷いた彼は、躊躇なくずんずんと先へ進んでいってしまう。
「ちょ、星野……」
まるでわたしの声など聞こえていないようだった。
人間って不思議だ。
二人ならサボってもいいか、と思ってしまった。
自分と同じ状況の人が数人いるだけで、まるで罪が軽くなったかのような錯覚を起こす。
やってしまったことは、軽くなることも、なくなることもないのに。
それなのに、悪いことをしたのが自分だけだと気付くと、そこでようやく自分がしてしまったことの重さを痛感する。
「わたし、やっぱり戻る」
こんなところにいてはだめだ。
すぐに戻らないと。
戻ったところで、きっともう遅いと思うけれど。
それでも、衝撃の事実を知った手前、罪悪感を感じずにはいられなかった。
……いや、最初から罪悪感は感じていたのだ。
それでも、一緒に帰ってみたかった、なんて。
きっと、彼の瞳に囚われたせいで、感覚が麻痺してしまったのだと思う。