海色の世界を、君のとなりで。
「星野はさ、いつからバスケやってるの?」
ふと気になって訊いてみた。
あれほどの実力を持っているのであれば、歴もそれなりに長いだろうから。
「……小四の頃」
「すご。七年間」
「別にすごかねえだろ。もっと小せえ頃からやってる奴なんてたくさんいる」
「ううん。十分すごいよ」
わたしがバスケを始めたのは、中学二年生の頃だ。
それも、自分から望んでではなく、人数が足りないからとたまたま兼部させられただけにすぎない。
結果としてチームに求められるようになって、最初入っていた茶道部をやめてバスケ部に転部した。
茶道からバスケ。
イメージだけで言えば真逆とも言えるようなまさかの転部に同級生は驚いていたけれど、正直どうでもよかった。
茶道部だって、入りたいけど一人では勇気がなくて入れない、と言った友人に頼まれてなんとなく入部した。
だから、辞めるときもたいして何も感じなかった。