海色の世界を、君のとなりで。
彼はそれを見て、いったいどんな気持ちだったのか。
となりで歩く女が、罪悪感に苛まれ、渋い顔をしているのだ。
さぞかし面白かったことだろう。
「うわー。あんた、そういうとこだよ。残念なところ」
「指摘されたところ以外は完璧ってことか。遠回しに褒めてる?」
「いったいどうやったらそんな解釈になるの」
歩み寄って、その脇腹を軽く小突く。
「いって!」
「あんたが馬鹿なこというからよ」
「暴行罪で訴えるぞ」
いつものように軽口を叩きながら、再び彼のとなりに並ぶ。
やっぱりここは、居心地がいい。
そう思うだけなら、自由だから。
声に、言葉に、行動に出さなければいい話だから。
無理やり自分を納得させて、となりを歩く星野を見上げる。