君の甘い笑顔に落とされたい。
うう、こんなにも廊下側1番後ろの席を恨んだことはないよっ……!
じーっと、無言で特集を読んでいた久世くんは、しばらくして床に座り込む私に視線を移した。
「……っ」
雑誌を机の上に置いて、私のところへとゆっくり歩いてくる。
は、恥ずかしくて死にそう。
だって、バレてしまったかもしれない。
ううん、絶対、バレた。
好きな人の席に座ってお願いをすると両想いになれるって、書いてあるんだもん。
知られるわけにはいかなかったのに。
平凡な私が、人気者の久世くんに恋をしているなんて、そんなの……
「花戸さんて、俺のこと好きなの」
可笑しいって、笑われちゃう。
目線を合わせるようにしゃがみ込んだ、久世くんのビー玉みたいな綺麗な瞳に、真っ赤になった私が映ってる。