君の甘い笑顔に落とされたい。

苦し紛れの言葉を、久世くんはどう思ったかな。
これ以上嫌われてしまったらどうしよう……。


「はぁーやっと終わったね、校長の長い話!」


始業式が終わり、教室へ戻ろうと渡り廊下を歩いていると桃ちゃんに話しかけられた。

「そうだね」なんて笑って見せる私を、心配そうな表情で見つめる。


「大丈夫……?」
「だ、大丈夫だよっ。心配しないで」


久世くんとのことは、桃ちゃんにも伝えてある。

夏休みに遊んだ時に報告したら、『なにそれ!?そんな反応するなら期待させるようなことするなって話じゃない!?』って、怒ってくれていた。


「そもそも釣り合ってなかったし……むしろ今までのことが奇跡だったんだよ」


お話ができたのも、連絡先を交換したのも、音楽室での出来事も。


「なっ、そんなこと絶対ない!!」
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