君の甘い笑顔に落とされたい。

そんな優しい椎名くんに、私はきちんと応えたい。

だからこそ、伝えるの。


「好きな人がいるの。だから、ごめんなさい……」
「……」


私の言葉に目を伏せて、それから苦しそうに笑って。
「これ、しばらくは引きずるなー」って、困ったように言う。


「……伝えてくれて、ありがとね、花戸さん」


こんな時まで、私に"ありがとう"って、言ってくれるんだ。
そう思ったら、じわ、と涙が浮かんできた。



「保健室に連れて行ってくれた時、私のことを待っていてくれてありがとう」
「はは、どしたの急に」

「色んなところに誘ってくれてありがとう。いつも話しかけてくれてありがとう」

「……」

「好きって言ってくれた時、嬉しかった。私のことを、好きになってくれて、ありがとう……っ」
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