君の甘い笑顔に落とされたい。

きっと椎名くんは久世くんがどこにいるのか知ってるんだろうな。

それでも皆んなに言わないのは、きっと、久世くんのことを想ってのことなんだろうな。



「バイバイ、花戸さん」



男女数人を連れて教室を出て行く時、椎名くんはくしゃりと笑ってそう言った。

優しい人だなぁ、椎名くんって。


カップケーキが潰れないようにバッグの中に入れる。
桃ちゃんは部活で、椎名くんはカラオケ。

久世くんは……どこにいるのか不明。

私も、早く帰ろうかな。



『──ねぇ茉白!見てこれ!キラキラしてて可愛くない?一目惚れして買っちゃった〜』



嬉しそうに笑いながらゴールドのピンを見せてくれた桃ちゃんのことが思い浮かぶ。
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