君の甘い笑顔に落とされたい。
「い、言えない……私だけの秘密なの」
私は久世くんとは釣り合わないから、
ひっそりと想っているだけで十分。
久世くんは雑誌の特集ページを見ているから、もしかしたらバレているかもしれない。
けど、私は久世くんのことは好きじゃないって教室で言ったし……
私から告白するこもとこの先ないから、きっと大丈夫。
久世くんは、人が聞いて欲しくないと思っていることをわざわざ深追いしない人だ。
……でも、良かった。
これで私が椎名くんを好きだっていう誤解は解けた。
「ふーん……」
やっぱり、久世くんはこれ以上は聞いてこなかった。
「……帰ろっか。もう遅いし」
もう少しで下校時間になる。
窓の外も夕焼けでオレンジがかっていた。