塩キャラメルは甘くない。





「え………?」


私も混乱していた。もしかしてこの子とも同じ部屋…?


でも、そんなわけない。だって私たちはマッチングシステム『デステニー』で選ばれた未来のお婿さんと“ふたりで”暮らすんだもん。


「もしかして、隣じゃない?」


よくよく見ると、ここは217号室だった。


「…す、すみません……!!」


恥ずかしい!まさか部屋を間違えていたなんて…!


初日からやらかしちゃった…!


真っ赤になりながら、私は慌てて隣の部屋に駆け込んだ。


玄関からじっと目を凝らすと、もう相手は来ていたようだった。


居間に入ると、彼の外見がはっきりしてきた。


さらさらの黒髪に、ラフな服装。一見真面目そうな雰囲気かと思ったけれど、私の視線はある一点で止まった。


ピアス。




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