塩キャラメルは甘くない。



ひとつ開けるのはまだ普通だと思ってたけど、彼には少なくとも3つは開いてる。


…ちょっと怖いかも。


これが、彼の第一印象。


さっきの王子様…仁希くんとは全く違うタイプだった。


「はじめまして、桃瀬芽琉です」


彼はスマホをいじっていたから、私はそっと声をかけた。


「ふーん」


彼はスマホから目をあげない。


「お名前は…」


「俺?汐谷鷹良」


「鷹良くん…よろしくね」


おずおずと言うと、彼はめんどくさそうに顔をあげた。


ようやく、その黒い瞳と目が合った。


「別に無理に話しかけなくていいから。隣のやつにでも会っておけば」


隣のやつじゃなくて悪かったな、と彼は言い残して部屋を出て行ってしまった。


私はサーっと青ざめる。



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