NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。
その14


「その延長で、もしかすると諸星さんも、やんわりとはその展開を予測してたか望んでいたか…。坂内さんはまあ、予測まではなくとも相和会に変化がなければ、諸星さんを泳がせることは最初から決めていたと思いますし。まあ、砂垣がどの程度知らされていたかは定かじゃありませんが」

「ちょっと待ってくれ。頭がこんがらって来たぞ。タカハシ!これって…、皆、出来レースってことじゃないのか‥」

「流動的要素をもって、暗黙でってことはあるかもしれませんね。ノボルさんは、今のオレの解釈に懐疑的でもいいんです。ただ、可能性としては頭の隅にでも入れてもらった上で、今後もこの地でしっかり見届けて行って欲しい。すべては来るべき時期にアクションを起こす、オレ達の判断に誤りを生じさせないためです」

”この時の最後の方は、ヤツの言う通り、頭の隅に置いとくレベルで聞き入れたわ。だがこの後、都県境はまるでタカハシの推論をなぞるようにコトは起きていったよ。信じられなかった、さすがにリアルタイムではな…”

大打ノボルはこの日、タカハシからの私見と分析から得た、想定予測の現実過程を、今後その目で見届け続けることになる…。

...


その後まもなく都県境では、排赤×反排赤という構図に乗って、砂垣一派と紅組の決着決戦を迎え、完敗を喫した砂垣とグループの主力はフレームパージの身となる。

これを受けて諸星は、その砂垣をもう一つの裏ポジションとして、愚連隊の顔役として囲った。
このフレーム外で砂垣は、水面下から墨東会を巧みに誘導し、紅丸有紀の南部聖一との協調路線で目指した完全再編を要所において阻止してゆく。

しかし勢いの止まらない赤塗りのムーブメントによって、旧来の都県境勢力図は、明らかに女集団の影響力が増すことになり、その流れを止めることはできなかった…。

この過程を以って、大打ノボルの視界に赤い影がちらついてくる。

そして、持病の悪化が周知となった相和会会長相馬豹一の後継を指名されていた実子、定男が急死する…。

それは、負傷を負っての入院先から飛び降りた自殺であったのだが…。
その裏には、ある女子高校生の関与があった…。

かくて、そのぼんやりとした”赤”は、ノボルにとって、次第に真っ赤なカベと化していく…。




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