NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。

チャプター14/それは赤きカベ

本チャプターのあらすじ⤵
東京埼玉都県境に駐留して3年…。大打ノボルの視界には赤い影が見え隠れしていた。それはデジャブのように…。NGなきワルとイカレ少女・本郷麻衣…、運命の二人を巡らせる禁断の磁力はすでに放出されていた…。

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その1



東龍会の会長、坂内が東京埼玉県境の大打の元へ訪れたのは、その2日後だった。
真夏並みの蒸し暑い午後2時過ぎ…。

坂内ははるかに年下の”パートナー”、大打ノボルとサシで約2時間の話し合いを持った。

長年の仇敵、相和会創設者、異端の極道・相馬豹一の実子急死を受けた、要は今後の方針を決定する場であった…。


...


大打ノボルがこの地に赴いてから、坂内が単身でノボルを訪れるのはこれが二度目だった。

しかし、前回はたまたま友人の挙式がすぐ近くということで、その披露宴からの帰りがてらに寄ったということに過ぎなかった。

...


「…今日、ここへ来る前に諸星には会ってきた。その席には砂垣もいた。ノボル…、その上でのミーティングになるぞ、今日はよう」

「はい。では、そのつもりで…、こっちも性根入れて伺いますわ」

「フフフ…、さすが我が相棒だ」

その場はしょっぱなから、凄まじい緊迫感が覆っていた。

それは、この二人の満を持した躍動感という熱がもたらしたのか。
それとも…。


...


「初めに直近の情報だ。相馬定男が収容先の病院から飛び降り自殺した動機がはっきりした」

「えっ…。なんなんですか、それって…?」

「相馬の息子は、大黒病院には男の急所を切り裂かれて搬送されたらしい。あのウツケ、業界でもオツムが足んないくせに、性欲だけは異常だって噂だったからなあ…。アレできなくなったってんで、相和会後継のイスからも飛び降りちまったらしい」

”なんと…!男の局部をやられたってのか…。じゃあ、やったのは一体…”

「それでよう、そんなスプラッター映画の殺人鬼みたいな猟奇的なオエーってのやった野郎だが…」

”誰だ、そいつは!いくらアホ息子とは言え、あの恐ろしい相馬豹一の実の息子からアソコちょん切って自殺に追いやったイカレ野郎は!、関西か関東か?”


...


「これは確かなニュースとして聞いてくれ」

「ええ、わかりました。…それで、そんなマフィアの酷い拷問まがいな仕打ち、どこのどいつが…⁉」

「…女子高生だ、それやったのは」

「!!!」

この時の大打ノボルを襲った驚愕という稲妻は、NGなきワルを脳天からつま先までを貫いた。
その衝撃で、ノボルはしばしの間、カタまるしかなかった…。







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