NGなきワル/バイオレンス長編作完全版！👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。

その４


「ノボル…、今日は多くまで言わんが、お前のＮＧなしを再確認だ。殺しの対象に女子供も問わない…。それでいいんだな、今後も本当によう？」

この坂内の念押しは、かなり唐突な感もあったが、ノボルは特にそう特別には捉えていなかったようだった。

「はい…。それをこなせる実際の担い手も複数確保していますし。いつでもオーダーには対応できます」

ノボルはきっぱりと答えた。

...


「はは…、それは先日の仕事でしっかり確認させてもらったし、まあ、いいんだ。仕事ぶりは完ぺきだった。合格点だよ。…だが、老婆心ってことになるが、今後こっちのオーダーとなると、”単発さん”だけでないことも頭の隅に入れておいてもらいたいんだ。そうなると、即応も何かと単純にはいかんだろう」

「すいません。ちょっと意味が…」

「ふふ…、悪い、悪い。こんな歯に衣みたいな言い回しではわからんな。じゃあ、そのものズバリだ。これからは、消えてもらうべき対象者にも、関連性がもたらせられるケースとかも多々あり得るとな…」

「！！！」

坂内のこの言葉に、ノボルは漠然とながらピンとくるものがあった。
そして一瞬、背筋が寒くなる感覚に襲われたのだ。


...


「ウデは文句なしでも、そいつが当該ヒットに使えない場合も生じるってことだ。要はな。従って、ヒットマンのストックは多いに越したことはない」

「そういうことなら、具体的にお願いします。現在は、”てっぺん”でＮＧなし可なのは二人です。それで足りないのであれば、何人に増やせばいいんですかね？」

もはやノボルはある予感が、それこそ具体的に頭に浮かんでいた。
それはまことに、陰鬱な予感だった…。

...


「…あと二人だな。いわば、ピッチャーのバリエーションとローテーションの二側面で捉えればいい。そうは急がんから、そこを心がけておいてもらえればとな…」

「あのう…、このことは、さっきから話に出てきた相馬さんの血縁娘と関係してるってことんでしょうか」

ここでノボルは、坂内へストレートに問いかけてみた。

「いや、もしもそんなケースが発生したらってレベルさ。今はな。…ただ、ほぼ同時に関連性のある複数の女子供って時への備え…、そんなとこで考えてくれればいい」

「…」

二人は数秒間、無言で視線を交わし合った…。
果たして、この時、坂内と大打ノボルの脳裏に描かれたものとは一体…。