NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。
その7
「”中身”はいたってシンプルにしたさ。”今年の花火大会開催において、市の行政に携わるすべて人間が、一年前の災害を二度と繰り返さないと誓い捧げる…”とな。でよう、そこには市長の署名を添えて頼むと…。まあ簡単なもんだった」
「それだけで、坂内さんは地域住民のメンタルを変えることができたと?」
「少なくとも、地域のムードと住民意識の風潮は変えられた。ノボル、要はな、役人たちってのは”それ”が肝心なんだ。実際の住民一人一人より…」
「…」
ノボルはただ感嘆する他なかった…。
...
「フン…、行政側は住民が俺の言う通りになったら、これほどありがたいことないさ。あの時、俺には手に取るように奴らの胸の内が読み取れたぜ。実際、ヨダレ流しそうなツラで是非是非って、こう来たんだからな。ガハハハ…」
「ふう…。じゃあ、その年の花火大会ではまずもって行政にも感謝された。加えて、坂内さんの仕切る縄張りで暮らす住民の東龍会を見る目だって、若干でも好意的になったんじゃあないんですか?それで、アガリも例年を大きく超えたとあっては、まるであの洪水災害が東龍会に福をもたらしたってことになりますよ…」
「まさしく”福の神”だったな、あの災害は(苦笑)。まあ、世間の嫌われ者であるやくざ組織がだ、住民とお役所双方を繋いだって評価を得た感触はあったしよう。なにしろだ、今じゃあこの辺の小学生だって、ここの市は、いざとなったら国を動かす凄い行政力を持っているって、この地に住んでることへの誇りを持ってるんだぜ」
”そこまでか!参った…。甚大な被害をもたらした災害をネタにやくざの一アクションが、事実認識さえ操作しちまったって言うのか…!ふう‥、これって…。地元に生まれた今の子供たちは、後々へ、さらに伝え継いで行くんだろうし…”
「…何故なら、親から多摩川氾濫時の”人災”を招いた側がその過ちを上回る決断力で人命を救ったと伝えられてるからだ。でよう、そのガキたちの親へそう吹き込んだのは、汚れた沼の底に生息してる世間の嫌われ者って訳だ。河川敷の花火大会の場を利用してな、フフフ…」
「…」
ノボルは気が付くと両腕に鳥肌を立てていた…。
「”中身”はいたってシンプルにしたさ。”今年の花火大会開催において、市の行政に携わるすべて人間が、一年前の災害を二度と繰り返さないと誓い捧げる…”とな。でよう、そこには市長の署名を添えて頼むと…。まあ簡単なもんだった」
「それだけで、坂内さんは地域住民のメンタルを変えることができたと?」
「少なくとも、地域のムードと住民意識の風潮は変えられた。ノボル、要はな、役人たちってのは”それ”が肝心なんだ。実際の住民一人一人より…」
「…」
ノボルはただ感嘆する他なかった…。
...
「フン…、行政側は住民が俺の言う通りになったら、これほどありがたいことないさ。あの時、俺には手に取るように奴らの胸の内が読み取れたぜ。実際、ヨダレ流しそうなツラで是非是非って、こう来たんだからな。ガハハハ…」
「ふう…。じゃあ、その年の花火大会ではまずもって行政にも感謝された。加えて、坂内さんの仕切る縄張りで暮らす住民の東龍会を見る目だって、若干でも好意的になったんじゃあないんですか?それで、アガリも例年を大きく超えたとあっては、まるであの洪水災害が東龍会に福をもたらしたってことになりますよ…」
「まさしく”福の神”だったな、あの災害は(苦笑)。まあ、世間の嫌われ者であるやくざ組織がだ、住民とお役所双方を繋いだって評価を得た感触はあったしよう。なにしろだ、今じゃあこの辺の小学生だって、ここの市は、いざとなったら国を動かす凄い行政力を持っているって、この地に住んでることへの誇りを持ってるんだぜ」
”そこまでか!参った…。甚大な被害をもたらした災害をネタにやくざの一アクションが、事実認識さえ操作しちまったって言うのか…!ふう‥、これって…。地元に生まれた今の子供たちは、後々へ、さらに伝え継いで行くんだろうし…”
「…何故なら、親から多摩川氾濫時の”人災”を招いた側がその過ちを上回る決断力で人命を救ったと伝えられてるからだ。でよう、そのガキたちの親へそう吹き込んだのは、汚れた沼の底に生息してる世間の嫌われ者って訳だ。河川敷の花火大会の場を利用してな、フフフ…」
「…」
ノボルは気が付くと両腕に鳥肌を立てていた…。