NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。
大打ノボルの秘められた黒い意思/運命の舞台、九州へ
黒の飛翔④



「…そこで坂内さんは、諸情勢のタイミングを集約できれば、関東の東龍会がイニシアティブをとれると早くから読み込んで九州を”誘導”した。だから、来るべき東西の集まる場での先導役は坂内さんってラインが有力だった…。その火付け役を、東龍の傘下ネットワークたる我々シロートが成就させた。なら、彼にとっては、まさしく願ってもないシュチエーションでの舞台になるはずだ」

「うん!…そうだな。関東本家にも鼻が高いし、ライバルの関西連中には存在感を示せる。相和会にだって威嚇できる側面もな…」

「その通りです。そこでですよ、ノボルさん…!坂内さんは対相和会戦略を本気でガキをクッションにした…、まあ、ここでは星流会スキームと言っておきましょう。…”これ”を切り口として相和会攻略を唱えると思うんです」

三貫野のテンションは明らかに上がっていた。
それに呼応するかのように、大打ノボルも一気に声のトーンが高まった。


...


「ちょっと待ってくれ、三貫野‥。この星流会スキームって、今まで対相和会戦略としてなら、とことん”失敗”だったんだろう?なら、関西だってそのスキーム、ダメじゃんってならねーのか?」

やや顔を紅潮させた”ドライガイ”のノボルは、もはや捲くし立てるようだった…。

「ここで星流会スキームを側面的にですが、反面教師に捉えるとどうなるか…、それを考えてみて下さい」

「三貫野!じゃあ、なにか…?坂内さんは、ガキを挟むっての、戦略的には正解だと。まずはな…。だが、今までうまくいかなかった。それは、所詮チ○ンの親分が率いる関東の枝組織だからって論建てかよ!」

「はい、坂内さんはそのニュアンスで唱えると…」

「なら、自分とこで星流会スキームの欠点を埋め、より高精度化させれば、相和会への攻め口にあてがえられると…」

三貫野は大きくうなずいて、間髪入れずに続けた。

「そして、何よりもガキの質を星流会よりアップさせる…。この点が肝と捉えてる。その上で、今回のアンタが仕掛けた”実績”を持ちだせる…」

”九州に入ってまだ2週間経っていないが、三貫野の言葉には何度も驚嘆させられた。だが、今の驚きは最大級だった…”

もうノボルは口をポカンと開けるほかなかった…。




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