NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。
大打ノボルの秘められた黒い意思/運命の舞台、九州へ
黒の飛翔⑤



「ノボルさん…」

大打ノボルが見せた”初めての表情”…。
三貫野は思わず意表を突かれた体だった。


...


「ああ、三貫野…。じゃあ先に説明してくれ。東龍会の坂内さんが、その場を九州でって考える根拠を」

「はい…。今回はケンカの当事者、つまり自陣営の球磨黒、それに敵対サイドの一新会両方に直接、ねぎらいの旨を伝えたいとの考えがあると…。従来の両者手打ちの場は、あくまで東西の直系同士の言わば当事者の頭越しってのが実情らしいんですよ。でも、今回は今までとは違うとアピールする必要があるって見てるんでしょうね」

「…」

もはやノボルは無言で、この優れたブレーンから精度の高い分析をすべて聞き収めるつもりだった。


...


「…その理由は明らかです。海の向こうにまで堂々とケンカを売って”完勝”となれば、相和会はこれまで以上に全国組織にとっては厄介な存在となる。この際、東西間で対相和会の対応策をしっかり確認し合わねばという危機意識は、当然、関東・関西共に強く持っているでしょうから。そこで、東西が連帯感を高める為には、この度の熊本抗争の手打ちをハデにぶち上げることで抜群の演出効果が見込めると…」

ノボルは無表情&無言を続けていた。

「…それならばですよ。いっそ熊本まで出向けば、さらに東西結束を印象つけられますしね。まあ、相和会の当該事案の舞台が九州ってこともリンク付けは狙えるし、もしかすると、その北九州市の現場を視察ってのもあるかもしれません。なので、坂内さん本人が熊本に来る可能性は非常に高い」

「…」

「その坂内さんが九州入りすれば、ほぼ間違いなく大打ノボルに面会を申し入れてくるでしょう。その理由はもう述べたも同様です。そしてその際は、オレも椎名も武次郎さんも、アンタは会うべきだと思っている」

「三貫野、丁寧な説明をありがとう。だが、オレはここ一番の決断では極めて慎重肌なんでな。今一度、念を押す。今の時期に”あの人”と接触することは、プラスと考えているんだな?当然、オレたちの目指す目的にとってになるが、あの人にとっても…」

「ええ、ここでのファーストコンタクトは、双方どちらにとって極めて有意義です」

「正直言えば、オレ的には早いんじゃないか…、リスクは否めない…。それが本心なんだ。それでもなんだな?」

「はい、”今は”決して逃すべきでない。そういうことですわ」

この三貫野の言葉で、ノボルは決断した。

”三貫野よう…、お前の読みは読めたぜ、ヘヘ…”

そう…、ここでやっとノボルの中にブレーンとしての三貫野の深意がポンと飛びこんできたのだった…。




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