NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。
大打ノボル、最終選択点”殺人コーディネート”に達す…!
悪の研鑽⑦



”オレの24時間とは、立ち止まらないこと…”

大打ノボルは、自分が止まったら生きて行けぬと自らに十字架を突き付けて歩んできた。
自分であり続けるには、走り続けるしかない…。
ストップ・イズ・ダイ…。

何とも暗闇な、幼心に培われたセオリー…。
それは果たして、自己を啓発する鼓舞の一里塚か、それとも…。

...


そんなノボルの源流としての振る舞いを、物心ついた頃からいつも一緒だった武次郎と椎名彰利は、共にその無垢な目で捉えていた。

わずかながらでも年下の二人には、彼は”大人”として写ったのだ。
それは、ごく自然と…。

二人はこれまで、ノボルの背中を見ながら世間を渡ってきたといっても過言ではなかった…。

”武次郎の納得を得た。体当たりだったが、結果は得られた。だが、オレは何かを踏み越えてしまったような…、そんな感覚も否めない…。不思議だ…。どこか嫌な気持ちだったな”

椎名は武次郎の部屋から出て自宅に向かう車の中で、どこか晴れぬ雲が視界に残っているようなウヤムヤ感に襲われていた。
この時の感覚を、その後彼は何度も思い起こすこととなるのだが…。

”しかし…、よく武ちゃんが折れてくれたな。オレも必死の説得だったが…”

まずは難関と踏まえていた武次郎の了解を取りつけた安堵感が勝っていたようだ。
そう…、つい先程までの竹馬の友との壮絶な信条のぶつけあいは、まさしくガチンコだったのだから…。


...


「…これは、我々の勢力を拡大するって目的じゃない。まずは、そこを頼むよ、武ちゃん」

「じゃあ、何なんだよ…。オレ達は日本の極道界大手の中枢組織とほぼ対等のパートナー関係を結んだんだろうが!それを、わざわざガキのレベルに合わせて接触してだ、我らの勢力を広めるんでなくて、何なのか…。オレにもわかるように説明してくれ!なあ、彰ちゃん…」

「ああ、今言う。それな、最大の目的は”視察”だ」

「視察だってー⁉」

この二文字に、武次郎は目が飛び出しそうなくらい驚いている様子だった。





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