NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。
その3
南部



8人によるディスカッションは、いわば押しつけ合いだった

砂垣さんは絶対ヤダの一点張りで、積田がじゃんけんで決めようと提案しても絶対ヤダだったわ

そしたら織田ともう一人も絶対ヤダで、3人は積田とオレに視線を集中してるし…

一方、あっちの3人はスンナリだった

「こっちは俺が遣いを買って出た。そっちは誰が出るんだ」

そう言ってのけたのは高本だったよ

で…、こっちは…

再び砂垣さんたち3人が、オレたち二人をじーっとだよ

...


オレは積田と顔を見合わせ、アイコンタクトを交わし、合意した

「積田とオレ、どっちかってことで決めるしかないようですね、砂垣さん」

「ああ、頼むわ」

「なら、あの二人どっちかを指名するのは、遣いに行かないあなたたち5人で決めてもらいますよ」

砂垣さん、今度は他の4人に目配りしてる

「はは…、それもよう、遣う方で決めてくれよ。なあ…、持ってく指なんだしさ」

オレは返ってくる答えを承知で、砂垣さんのリターンを引き出した

「じゃあ、今から3人でヤツらにすべての回答をしてきます。その決定には一切異論ないですね?」

「ああ、それでいい。なあ、みんな‥」

これには全員フンフンと勢いよく頷いていた

決まったな


...


「じゃあ、これからこの3人で相和会に伝えてこよう」

積田と高本は黙って首を縦に振った

そしてその場から数メートル離れたところに移動すると、オレたち3人は肩を寄せ合い、ヒソヒソ話に入った

「あと1分しかないから、オレの提案を言うぜ。遣いはこの3人ってことにする。高本のとこは人数が少ないからバランス見てってことで。そんで指切られる人だが…。どうも暴行受けたのは左側だけみたいだろ?」

「ああ、そうだな。高本もそう見えるか?」

「うん、明らかだ。一人は顔面アザだらけで、相当こっぴどくやられてるよ」

「ならさ、ここは究極の選択から逃れられないんだ。じゃんけんとか、あっち向いてホイとか、クイズとか、そんなおちゃらけたことを押しつけするんなら、3人でどっちかを決めよう。ここは逃げずに、今確認できた現状を踏まえて。どうだ?」

オレは二人の顔を交互に見て、決断を迫った

...


二人の返事はすぐだった

「ああ、オレはそれでいい。確認だが、暴行を受けてない方にってことだな?」

「そうだ。一応、これもバランスってことで。まあ、所詮は自己満足にすぎないが…。あんたはどうだ、高本?」

「うん、それで異論を唱える気はない。だが、相和会の人には今の二つの根拠をはっきり伝えよう。当事者になるあの二人にも聞こえるように…」

「賛成だ。なあ聖一…」

「うん、そうしよう。はっきりとな。じゃあ、3人で話しにいくか」

この時の、3人揃ってやくざもんの前まで向かった数歩の感触…

おそらくは、一生忘れることなどないだろうよ





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