とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
「俺からゆきりんへの推薦課題図書。あげるから読んでよ」
「え、待って。あげるって言われても」
「大丈夫、大丈夫。ぜったい、おもしろいから。ゆきりんもハマるって」
「そういう問題じゃなくて」
「あ、カード一括でお願いします」
詩優さんはカウンターにどさりと単行本を置いた。
ぐらぐらと高く積まれた単行本は、店員の慣れた手つきで次々とスキャンされていく。
いくら単行本だって、これだけあったらけっこうな額になる。
気軽に受け取れるようなものではない。
「本当に、受け取れない」
きっぱりと言い切った。
それでも詩優さんはペースを崩さない。
「いいんだよ。俺が読んで欲しいんだから。
ゆきりんは読んで、感想聞かせてよ。人に貸して布教してくれてもいいし」
ふと思い出す。マットレスの話をしたときの、あの男を。
「なんか、邑木さんと似てる」
「え、俺と兄さんが?」
「うん。似てると思う」
そっか、と詩優さんは短く返した。
単行本を包んだ大きな紙袋がカウンターに二つ並ぶ。
おずおずとわたしが手をのばすと、詩優さんが二つとも手に取った。
「え、待って。あげるって言われても」
「大丈夫、大丈夫。ぜったい、おもしろいから。ゆきりんもハマるって」
「そういう問題じゃなくて」
「あ、カード一括でお願いします」
詩優さんはカウンターにどさりと単行本を置いた。
ぐらぐらと高く積まれた単行本は、店員の慣れた手つきで次々とスキャンされていく。
いくら単行本だって、これだけあったらけっこうな額になる。
気軽に受け取れるようなものではない。
「本当に、受け取れない」
きっぱりと言い切った。
それでも詩優さんはペースを崩さない。
「いいんだよ。俺が読んで欲しいんだから。
ゆきりんは読んで、感想聞かせてよ。人に貸して布教してくれてもいいし」
ふと思い出す。マットレスの話をしたときの、あの男を。
「なんか、邑木さんと似てる」
「え、俺と兄さんが?」
「うん。似てると思う」
そっか、と詩優さんは短く返した。
単行本を包んだ大きな紙袋がカウンターに二つ並ぶ。
おずおずとわたしが手をのばすと、詩優さんが二つとも手に取った。