とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
「わたしも持つよ」

「俺、いちおう男だよ。兄さんと比べたら頼りなく見えるかもしれないけど」

「でも」

「じゃあ、そろそろ帰りますか。あ、あれも買っておけばよかったな。忘れてた」

「あれ?」

詩優さんはレジの近くの月刊誌を指した。
若い女性向けのライフスタイルマガジン。
彼がそれを読むのは意外だった。

「そういうの読むんだ」

「や、ゆきりんにあげようと思って」

「なんで?」

わたしはすっかり敬語の抜けた軽い口調で訊ねた。

「兄さんが載ってるから」

「邑木さんが? なんで邑木さんが雑誌に?」

「なんでって」


ゆきりん、知らないの?


そう言って、詩優さんはまちのパンやさんの正体を告げた。
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