とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
「ここに置いてあるものは、ぜんぶ自由に使って構わないから。
インテリアが気に入らなかったら変えてもいい。君は俺よりセンスがよさそうだし」

インテリアは至ってシンプルだった。
無機質で平行線で白い。
気に入る気に入らない、という感情もとくに抱かない。

そんな部屋のなかで目を引くのは

「観葉植物、好きなんですか」

オリーブ、ハートカズラ、モンステラ。
どの部屋にもひとつは観葉植物がある。

とくにリビングのパキラは、子どもの背丈ほどの高さがあって目を引く。

この(ひと)が緑を愛でるのは意外だった。

「いや、なんとなく置いてるだけ。ぜんぶフェイクだから、手間もかからないし」

「え、フェイクグリーンなんですか」

「ぱっと見るだけなら、わからないよな」

椅子から立ち上がり、リビングの隅でたたずむパキラに近づいた。
まじまじと眺め、すうっと空気を吸い込む。
確かに青い香りも土の香りもしなければ、平等にグラデーションのかかった葉は人工的だった。

「これなら()ちることもないから」

ふっと影が被さり、背後に立つ邑木さんが呟いた。
朽ちるという言い方に、もの悲しさを覚える。
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