君と二人でいられること。

信じてほしかった

当日、私たちのクラスは大盛況だった。テレビ取材などもあって、さすがセブンオーシャンだなと思っていた時、事件は起こってしまった。

「あれ、春香?」

夏也くんと休憩をしていると、後ろから誰かに呼び止められた。

振り向くとそこには、懐かしい人がいた。

「秋菜」

私が覚えているのがわかると、秋菜はクスリと嫌な笑みをこぼした。

「ね、誰?」

隣で夏也くんが不思議そうな目で私たちを見つめていた。でも、なんと言えば正解なのか、私にはわからなかった。

「え、えっと、」

うまく言葉にすることができずにいると、秋菜が口を開いた。

「弥生秋菜です。春香とは元親友かな」

こっちを見て笑いながら秋菜はそう言った。

「元ってどういうこと?」

夏也くんに悪気なんて一切ない。ただ、気になったことを聞いているだけ。

そうだとわかってはいるものの、私は説明しようとしても言葉が見つからなかった。

「春香、説明してあげなよ」

煽るような秋菜の言葉に、段々と自分がイラついていることがわかる。

何も言えない自分が、からかってくる秋菜が、憎くてしかたがなかった。

「はあ、」

秋菜がわざとらしくため息をついて、一歩夏也くんに近づいた。そして、こういった。

「私ね、この子に裏切られたの」
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