世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「それでな、同居以外にもうひとつ考えてることがあるんだ」
 悠真の口から出された言葉に陽貴は真剣に耳を傾ける。
「ちょっと早いけどその方がいいかもな。前々から考えてたことだしね。社内の士気を上げるためにもベストか」
「そう。見聞を広げたいからね。良輔さんがいいとこ紹介してくれるそうで。それに、ここから、電車で15分ぐらいのとこ。西南中央の近くの工業団地」
 これからのことを話す悠真の声が明るい。
「はぁ、あの辺な。いいじゃん。結花さんには言わない方がいいな」
「当然そのつもりだよ。両親にもお願いする。はるにいも隆太も結花には絶対言わないで欲しい。多分怒るだろうから」
 身内がトップであることを威張ることしかできない人には、それをなくせばただのスタッフになるだけ。
「でしょうね。分かってる。それなら俺もそうしようかな。出来れば彼女の天敵になるタイプがいた方がいいかも。隆太にも話してみよう」
 2人が話終えた頃には、こたつの上のみかんが全てなくなっていた。
 

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