世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 陽鞠は陽貴の考えに対して「守るため?」と聞き返す。
「あのね、信用を失うのと悪い評判がつくのって簡単なんだけど、それをとっぱらうのってめちゃくちゃ難しいんだ。まして、今は他人の過去のことをネットで調べようと思えば出来るんだから。お母さんのこともそう。過去にいじめをしてた、異性と遊んでた事実やお父さんを蔑ろにして、好き放題してたことがSNSに残ってる訳。たとえ関係なくても、娘である陽鞠ちゃんとお父さんには、あの呉松結花の娘または夫という枕言葉がついてまわる。地元にお母さんの過去のことを知ってる人間がいる以上、たちまち広がる。たとえ陽鞠ちゃんが真面目にしても、いつかお母さんみたいになるって思ってる。いや、そうであって欲しいからね。多分嫌がらせする人達は、ここぞとばかりに陽鞠ちゃんを人質にしてるんだ」
 そうであって欲しい――つまり陽鞠と悠真が結花と共に落ちぶれて欲しいということだ。人生転落して欲しい。結花が調子に乗ってたから、因果応報が来て欲しいと願っている人間がいるということ。
「確かに悪事千里《あくじせんり》を走る、悪名《あくみょう》は無名《むめい》に勝るって言うしね。学校変えるのが一番なのかなー。この近くに寮つきの学校ってあるのか? 最悪県を越えないと無理じゃないか?」
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