世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 浅沼から婚約した状態で、他の部署に公表するのを避けるように提案した。
 結花の「他の人のものを欲しがる性格」で、野澤が狙われる可能性があることからだった。
 入社時に2人の関係を知っているのは、それぞれの部署の人間と、浅沼だけだ。
 
 浅沼工場では、本人または身内の冠婚葬祭や子供の誕生を社内で掲示板にてお知らせする。
 今の時代、プライベートや個人情報に神経質な人が少なくないので、強制せず、希望制となっている。
 結婚したのは3ヶ月前だが、公表したのは1週間前だった。
 ちょうど結花が寮で療養しているときだった。

「うん。ほんと姫様とは大違い。あれじゃない? 結婚とか目論んでるんじゃない? 実家裕福らしいし」
「無理っしょ? あの性格じゃ。ほら、桃花ちゃんとか、玲音くん達いじめてたって話」
「有里波ちゃんが掃除押しつけられてさ、姫はあれこれ言うだけで何にもしてなかったの見たよ。廊下の壁にもたれかかってさ」
「多分言い返せないの分かっててやってるね」
「みんなそれぞれパニックになる所を知っててやってるんでしょ?」
「うわぁ、こっわっ!」
「ほら、姫様って自分のこと名前で言うし、反抗的だから、服部さんやめさせるぐらいだから」
「服部さんって、奥さんの方だっけ? やめたの?」
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