僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
いつだって、世界は灰色に見える。

どんなに天気がよくても、空が青くても、なにひとつ関係ない。

クラスメイトの楽しそうな話し声や笑い声が耳に入ると、よりいっそう灰色が濃くなっていく。 

この世界は、毎日楽しそうに笑っているみんなの目にはどう見えているのだろう?

澄んだ青空の広がる、爽やかな世界だろうか。

宝石箱をひっくり返したかのような、きらめく世界だろうか。

そんな想像をしただけで、私はまた自己嫌悪におちいる。

自分がみんなとは違うっていうことを、思い知らされるだけだから。

高校二年生が見る世界なんて、きっとふつうは、目も開けてられないくらいキラキラしているはず。

そうでないとあんなふうに、学校のあちこちで、ゲラゲラ笑ったりじゃれ合ったりできないだろう。

この黄金色に輝く四角い校舎の中で、私だけがひとり切り離されたみたいに、今日も灰色の世界に置き去りにされている。
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