※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?

14.プライド激高の難攻不落令嬢は、王太子殿下に求婚される(3)

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「まさかこんな日が来るなんて、思ってもみなかったな」


 白いウエディングドレスを身に纏ったアンナを眺めながら、ゴッドウィンオースティン家の面々は瞳を潤ませる。
 下手をすれば、一生嫁の引き取り手が現れないと思っていた娘の大躍進。人の好みは分からない、とぼやくモーリスを、アンナは眉間に皺を寄せつつ睨んだ。


「いや、実際おまえの器量や知識なんかは王妃の器になりうると思っていたよ」


 父親のなんとも含みのある物言いに、アンナは目を細めて笑う。


「分かっていますわ。性格に難が無ければ、と仰りたいのでしょう?」

「……本当に、アンナは随分丸くなったね。昔のおまえだったら、今頃目くじら立てて怒っていただろうに。これも殿下のお蔭なのかな」


 そう言ってアンナの両親は、何とも感慨深げに顔を見合わせた。アンナは小さな声で「そうですわね」と呟くと、もう一度穏やかに笑った。



(いよいよ、か)


 両親が席を外した隙を見て、アンナは人払いをした。結婚前に一人、心の整理をする時間が欲しい。そう思ってのことだったのだが、ここで思わぬことが起こった。


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