※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?

2.政略結婚のすゝめ(2)

◇◆◇十歳◇◆◇

『結婚?』

『そう! 政略結婚! わたしをソーちゃんのお相手にどうかなぁと思って』


 ソーちゃんがご家族から結婚についてどんな風に言われているかは分からない。だけど、話してみなきゃ始まらないもの。

 尋ねながら心臓が激しく鳴り響く。
 自分を売り込むのって思っていたよりもずっと緊張する。『嫌』とか『お前じゃダメ』とか言われたら凹んでしまうもの。ソーちゃんの返答を待ちつつ、ごくりと唾を飲み込んだ。


『まだ十歳だし、そういうこと、考えたこと無い』


 ソーちゃんはそう言って、ふいと顔を背けてしまう。
 まだ十歳――――ソーちゃんのお家はそういう考え方なのだろう。
 家だって、お父様は『おまえに結婚なんてまだ早い』って言っていたし、貴族は幼い頃に婚約を結ぶものって考えが全てではないもんね。


『そっかぁ……じゃあ、来年会うまでに考えといてね!』


 そんな感じで、この年のプレゼンはあっさりと終わった。



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