※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?

21.一目惚れも、ここまでくれば(2)

***


 (絶対、反対する人が沢山いると思ったんだけどなぁ)


 想像に反し、わたしと殿下の婚約に異を唱える人間は殆ど居なかった。異母姉さまや、殿下の他の婚約者候補たちが精々で、概ね好意的に受け入れられてしまったのだから驚きである。
 肝心の陛下や妃殿下は、アイザック殿下によく似たホンワカした雰囲気の和やかな人達で、『息子が選んだ人ならば』と、快く婚約を受け入れてしまった。


 かくして、わたしとアイザック殿下の婚約は実にアッサリと結ばれてしまった。


「良かったね、ローラ。これで僕達は正式に婚約者になれた」


 婚約式の後、殿下はわたしの手を握って、ニコニコと嬉しそうに微笑む。


(わたし的には良くないんだけど)


 こんな反乱因子を妃として招き入れるなんて――――平和も過ぎたれば悪というか、王室の間諜たちは一体なにをしているんだろうと思わずにはいられない。


(普通、妃となる人間の身辺調査ぐらいするでしょう?)


 その過程で不適切となるものが大多数だから、婚約者候補にあがることはないし、王子たちとそもそも関わらせはしない――――そんな簡単なカラクリすらも機能していないのだから、割と本気で国の未来を憂いてしまう。


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