続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「え?颯?」 

「顔も見んな」

俺は、美弥の大きな瞳を片手で覆った。顔も体も熱を帯びてくる。これ以上、美弥に見られてたら、抑えなんて効かそうにも効くわけがない。

「颯……顔、赤」  

「黙れ」

美弥に目隠ししたまま、俺は、美弥の唇を塞いだ。

「ンンッ……」

口を塞ぐだけのつもりが、すぐに美弥の唇をこじ開けて、舌を差し込んで、美弥の舌に絡みつけていく。全身が瞬く間に熱くなるのを感じて、俺は慌てて身体を離すと、顔を見られない様に、美弥を胸元に押し付けて抱きしめた。

「……美弥が大事だよ。何よりも。俺から離れんなよ」

頷くと、美弥が俺の首元に手をまわして、俺にぴっとりとくっついた。下半身は、すぐに反応しそうになる。

「……颯、あったかい……」

俺は、美弥の髪を撫でる。美弥は、疲れていたんだろう。あっという間に静かな寝息を立て始めた。

「寝るの早っ、さすが猫だな」

俺は、美弥のほっぺたを(つま)む。俺に頬を摘まれても、豚っ鼻にされても、子供みたいにすやすやと、寝息を立てている美弥が、どうしようもなく愛おしい。俺は、リップ音を立てて、頬にキスを落とした。

たまには、こうやって美弥の寝顔を存分に眺めるの悪くない。こんなに可愛いシンデレラの寝顔を、この世で俺だけが、独り占めできるのだから。

「……は、やて……」

「ん?」

美弥の顔をみるが、長い睫毛はピタリと閉じられている。

「……だいすき……」

「ばぁか、起きてる時、言えよ」

俺は、自然と上がる口角をそのままに、美弥をさっきよりも強くキツく抱き締めて、ゆっくり瞳を閉じた。
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