Y'a pas que les grands qui rêvent
「やってらんないね!こんなババア相手にしても仕方ないから、早く部屋に戻って荷解きしよう」

憤りを丸出しで、大きな足音を立てながら階段を上っていくヘレン。

ヘレンがついに“ババア”と言った…。

8年前は、天使のように愛らしかった妹が。

本当に、この子には一体、何があったのだろう?

さっきから、一人称は“あたい”だし、両親のことも“親父”に“お袋”の挙げ句、“ババア”だ。

私たちの部屋は、2階にある。

姉妹の歳の差が15ということもあり、ちゃんと各々の部屋があるのが、せめてもの救いだ。

「荷解きと言っても、そんなに荷物ないんだけどね…」

思わず苦笑いで答える。

事前に段ボールは送っておいたものの、その数は少ない。

「お姉ちゃんさぁ、なんで離婚したの?」

段ボールを粗雑に開封しながらヘレンが尋ねる。

かなりストレートだなぁ…と思うが、妹に隠しても仕方ない。

「この8年、色々あったけど…決定打は、高生さんの不倫相手に子供が出来たことかな」
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