【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
「恥ずかしながら、貴女に一目惚れをしてしまいました。その栗色の絹のような髪も可愛らしい薄桃色の瞳も、一目見たその時から心奪われました」

それを聞いて気を良くした父はレンティル様は結婚相手として相応しいと言いました。
わたくしは、そこに愛情のようなものは感じておりませんでした。

付け加えますが、わたくしは絹のような髪ではなく軽くウェーブがかかっておりますし、瞳を可愛いというレンティル様の頭は大丈夫かと不思議に思っていました。

けれど、わたくしの家……ペルーシャ子爵家は父の言うことは絶対なのです。
わたくしには兄や姉が居ますが、わたくし以外は婚約者が決まっています。

ペルーシャ子爵家は主に金銭の貸し付け等で、成り上がって爵位を買った新参者の貴族です。
勿論、古くからある歴史ある貴族は、わたくし達をよく思わないそうです。

けれどペルーシャ領はとても豊かで活気があります。

お父様は一代で貴族になった成金だとよく言われてますが、それを捩じ伏せて木っ端微塵にする力を持っています。

なので、大体お金目当てで婚約者になりたいという方達が殆どなのです。
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