【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
けれど自分の娘であるレイチェルとラランド公爵家の嫡男であるハイメの前では良い母親を演じている。
そして、あたかもノエリアがドロシーを嫌っているかのように言いふらしているのだ。

どうやら前々からノエリアを蹴落とすことの計画は立てていたようだ。

ノエリアだって馬鹿ではない。
「わたくしが死んだら、絶対にドロシーとレイチェルのせいだわ」と王女であるヘレンには伝えてある。
それが味方が居ないノエリアに出来る精一杯の足掻きだろう。
王太子の婚約者を殺したとなれば、タダでは済むまい。
それだけノエリアにはお金も時間も掛かっているのだから。

ホールデンは恋に浮かれているのか、レイチェルの前だからかは分からないが、勢いのままにノエリアを責め立てている。


「そんな女だとは思わなかった!見損なったぞ‥ノエリア!!」

「何を証拠に、そんな事を?」

「レイチェルと公爵夫人の証言で十分だ」

「些か早計なのでは?」

「‥っ、ノエリア・ラランドを西の塔に拘束する」

「ホール様、何故塔に拘束なのですかっ!?牢に入れて処刑してくれるって言っていたじゃないですか」
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