【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
その言葉を聞いてか、一瞬で青褪めた二人は体を離しました。
ですが、その行動は何の意味をなさないのです。


「あの……コーディ殿下、無理はなさらなくともアンバー様と体を密着させたままで大丈夫ですわ!」

「ッ!?」

「……!?」

「もう証拠は揃っておりますし、わたくしが慰謝料を頂ける事は決定事項ですので」


そう言うと、二人は目を剥いて此方を見ています。

沈黙が流れていますが、わたくしはお二人が親密にしている様子を見つけては、その証拠を集めて回っていました。
ある時は目撃証言を取り、ある時は日付け、場所、やっていた事を事細かにノートに書き込みました。

お二人はバレているとは思っていなかったようですが残念ながら、わたくしは全て把握しております。


「では、これを今すぐに国王陛下の元に持って行って下さいませ」

「かしこまりました」


一緒について来てくれたクラリッサ家の執事に書類を渡します。
クラリッサ公爵家の使用人達は皆、大変優秀です。
今日はこうなることを見越して父と国王陛下は共にいるはずなので、すぐに判を押して下さる事でしょう。
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