あなたが婚約破棄されたいならどうぞご自由に。ですが、私の周囲は怒っているので覚悟をなさって下さい。私は私で王太子殿下に溺愛されてしあわせになりますので
 お咎めはなかった。というよりも、火傷を負って寝込んでいるわたしにたいして、咎めようがないからである。

 その火傷のことは、暗黙の了解でだれも何も話をすることはなかった。

 当初はガブリエルも気に病んでいるようだったけれど、それも月日が経つにつれ気にしなくなった。

 おそらくあのボヤのことは、すべてがわたしのせいで、わたしの自業自得だと彼の記憶は書き換えられているのだと思っている。

 ソフィアの説明を、人々はただだまってきいている。その説明が終わったとき、人々は彼を非難しはじめた。

 その筆頭が、彼の両親。つまり、ラムサ公爵夫妻である。
< 45 / 71 >

この作品をシェア

pagetop