信じていた···疑う事も··なかった
身勝手な自分

気がつけば朝になっていた。

俺は?
食べたのか
寝たのか
お風呂に入ったのか····さえ
定かでない。

もう一度
シャワーを浴びて
コーヒーを······

キッチンに沙良のカップが
洗ってふせてある。

さらっ·····沙良っ·····

大学から約二年
結婚して六年

八年の間
二人で色んな話をした
二人で老後までの計画もたてた。
大事に大切にしてきたのに
愛していた···はず····なのに·····

俺は·······いったい····

沙良の仕事が忙しくなって
一緒に食事できないから
 なに?

話せないから
 どうした?

それさえも
わからなくなっていたんだ。

 ·····情けない·····



着替えをして仕事へ。

席に着くと
目の前に影が
顔を上げると
怒った様な顔をしている北山さん。
思わずため息がでるが····
「あ〜、北山さん
  おはようございます。」
と、パソコンを立ち上げながら
挨拶をすると
「おはようございます。」
と、彼女も答えてから
「どうして、電話に出てくれないのですか?」
と、声のト〜ンを落として
言う彼女に
「もう、終わりにします。
と、お伝えしましたが。」
と、言うと
「あれは、食事の事ですよね。
連絡等もなんですか?」
「ああ。すみません。
言葉が足らずに
連絡等もです。」
と、伝えると
「係長から誘ってきたのに。」
と、涙を流す北山さんに
「勝手な事をして
  申し訳ありません。」
と、言いながら
周りからチラチラ見られて
いるのがわかり
「北山さん。
こちらに来て下さい。」
と、言うが彼女は
俺の机の前に立ったまま
動かずに泣いていた。

女性の職員が
「北山さん?どうしたの?」
と、言いながら
俺を見るから苦笑いをするしかなく。

すると北山さんは、俺と女性の職員に
頭を下げて
「すみません。
本日は休ませて下さい。」
と、言って帰って行った。

女性社員は、
「何かあったのですか?」
と、俺に訊ねたが
俺は、わからないと答えた。

「あの、高木係長。
少し言いづらいのですが
係長と北山さんの事が噂が流れて
他のパートの方から
北山さんだけが特別扱いされていると
係長が北山さんと一緒に
食事をされているのを
何人もの職員がみていまして。」
と、言われて
驚きに胸がバクバクと音を立てる。
「すみません。
そんなつもりは。
ですが、皆さんに嫌な思いや
ご心配をおかけしてしまい
申し訳ありません。」
と、伝えると
あくまで、噂ですからね
と、女性の職員の方。

面倒臭いと思いながら
一番、自分が情けなかった。

その日、なんとか仕事を終わらせて
職場から
北山さんに連絡して
「体調を見て
  悪いようでしたら
   明日も休んで下さい。」
と、伝えると
「わかりました。」
と、答えたので電話を切った。
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