光舞う、言ノ葉たちよ
glow words
「死にたい」

「うん?」


ぽつりと呟けば、隣の布団で寝ていた彼氏がもぞりと動いた。


「死にたい」


もう一度、同じ言葉を口にする。


カーテンの隙間から漏れた月光が天井に揺らめいて、湖みたいに煌めいていた。


何で光ってるの、何で月はそんなに綺麗なの、むかつく。

わたしの心情なんか何も知らないくせに。



「何で急にそんな事言うの」

「死にたくなっちゃったから」

「俺と居るの嫌になった?」

「ううん、楽しい」


自分でも何を言っているのか、はたまた何を言いたいかなんて分からなかった。


彼氏…ひかると一緒にいるのは楽しい。

付き合って2年、同棲してかれこれ半年、喧嘩っぽい喧嘩は1度もしたことがない。


でも違う、これはそういう問題なんかじゃなくて。


「いつものやつ?」

「そう、いつものやつ」


主語のない会話で、全てが通じてしまう。


「あかりはネガティブさんだもんね」

「ひかるがポジティブすぎるんだよ」


もぞもぞと動いたひかるがスマホを掴み、電源を入れて時間を確認する。

2時だ、なんていう小さな声が吐息と共に聞こえてきた。
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