裏側の恋人たち
彼の首に両腕を回し襲うように口づけた。
ごめんなさいと愛してるが伝わりますようにーーー
唇を離し笑顔で告げる。
「今すぐにでも結婚したい。籍入れてわたしを津川にして」
そしてまた唇を重ねた。
あれ?う、うんっ・・・
わたし主導だったキスはいつの間にか彼主導に代わりどんどん深くなる。
甘くもあり切なくもある。
「ごめんね」
キスの合間にそう告げるとうんとしつこいキスをされたーーーー
ーーー深夜、ぐったりしているわたしとは対照的に大将はまだ元気があるらしくシーツから出ているわたしの鎖骨や肩口にキスをして遊んでいる。
「・・・・・・確か、わたしより5つも年上よね。アラフォーが・・・体力お化けめ」
憎まれ口をきくと大将がにやりと悪い顔をする。
「かわいい婚約者のお代わりのおねだりなら喜んで受けるけど」
「ごめんなさい。もう無理」
またキワドイ場所で怪しい動きをはじめた大将の右腕を掴んで止めた。
「思ったより体力ないな」
「大将がおかしいのよ」
おかしいのはわたしじゃないと唇を尖らせる。
「ふみか、『大将』じゃなくて?」
ムッとした顔で鼻をつままれる。
「あ、ごめんなさい。悠一先輩」
「こら、先輩も無しにしろって言ったろ」
「そうでした。悠一せ・・・さん・・・くん・・・ユーイチ・・・・・・」
これはキビシイ。
先輩から「大将と呼べ」って言われて5年。あれからずっと大将だったしその前は先輩だった。
今から名前を呼び捨てって、長年すり込まれているものを変えるのは難しい。
もうずっと長いこと後輩をしてきた身としては。
「悠・・・悠くん、悠さん・・・?」
「悠さんは店に来て呼ばれたら正さんみたいだから却下」
そうか。中々呼び方って難しい。
わたしにとって彼は津川先輩だし、悠一センパイだし、大将で。
うーん。
頭を抱えて唸った。
「ダンナ呼ぶんだから、ダーリンでもいいけど、悠一って呼んでみろよ」
「”ダーリン”」
言ったわたしも呼ばれた彼も同時に吹き出した。
やだやだやだ。むりむりむり。
お腹がよじれそうなほど笑って、お互いの目元に浮かんだ涙を拭った。
「もう結婚式も披露宴もまた今度考えるでいいわ。呼び名だけ何とかしてくれ」
「うん。悠、悠くん?ユーイチ。そのうち慣れるからちょっと待ってね」
「おう」とちょっと照れくさそうに笑った大将がちょっとかわいい。
ぎゅうっとしがみつくとお互いのぬくもりが素肌に気持ちいい。
ああ、こんなに幸せなことってあるんだろうか。
結婚も恋愛すらも縁が無いと思ってたわたしに降ってわいた憧れの人との生活。
こんなに愛される日が来るとは思わなかった。
わたしの人生はこの先ずっと仕事とお酒とスイーツとネコと友人で構成されていくのだと思った。
いまやもう彼以外のことは全部些細なこと。
お店のデザートが青汁しかなくてもだ。
いや、それは後々変えていくように話をしようとは思っているけど。
彼と夜を過ごすようになってわたしの酒量は格段に減った。
アルコールは大好きだけど、それよりも彼とちびちびやりながらたくさん話してたくさん笑ってたくさん触れ合いたい。
「マイスィートハニー、やっぱお代わりさせてくれ」
わたしのダーリンにこってりと甘いキスをされ、さっき拒否したことも忘れてこっくりと頷いた。
イレギュラーな恋
終わり
ごめんなさいと愛してるが伝わりますようにーーー
唇を離し笑顔で告げる。
「今すぐにでも結婚したい。籍入れてわたしを津川にして」
そしてまた唇を重ねた。
あれ?う、うんっ・・・
わたし主導だったキスはいつの間にか彼主導に代わりどんどん深くなる。
甘くもあり切なくもある。
「ごめんね」
キスの合間にそう告げるとうんとしつこいキスをされたーーーー
ーーー深夜、ぐったりしているわたしとは対照的に大将はまだ元気があるらしくシーツから出ているわたしの鎖骨や肩口にキスをして遊んでいる。
「・・・・・・確か、わたしより5つも年上よね。アラフォーが・・・体力お化けめ」
憎まれ口をきくと大将がにやりと悪い顔をする。
「かわいい婚約者のお代わりのおねだりなら喜んで受けるけど」
「ごめんなさい。もう無理」
またキワドイ場所で怪しい動きをはじめた大将の右腕を掴んで止めた。
「思ったより体力ないな」
「大将がおかしいのよ」
おかしいのはわたしじゃないと唇を尖らせる。
「ふみか、『大将』じゃなくて?」
ムッとした顔で鼻をつままれる。
「あ、ごめんなさい。悠一先輩」
「こら、先輩も無しにしろって言ったろ」
「そうでした。悠一せ・・・さん・・・くん・・・ユーイチ・・・・・・」
これはキビシイ。
先輩から「大将と呼べ」って言われて5年。あれからずっと大将だったしその前は先輩だった。
今から名前を呼び捨てって、長年すり込まれているものを変えるのは難しい。
もうずっと長いこと後輩をしてきた身としては。
「悠・・・悠くん、悠さん・・・?」
「悠さんは店に来て呼ばれたら正さんみたいだから却下」
そうか。中々呼び方って難しい。
わたしにとって彼は津川先輩だし、悠一センパイだし、大将で。
うーん。
頭を抱えて唸った。
「ダンナ呼ぶんだから、ダーリンでもいいけど、悠一って呼んでみろよ」
「”ダーリン”」
言ったわたしも呼ばれた彼も同時に吹き出した。
やだやだやだ。むりむりむり。
お腹がよじれそうなほど笑って、お互いの目元に浮かんだ涙を拭った。
「もう結婚式も披露宴もまた今度考えるでいいわ。呼び名だけ何とかしてくれ」
「うん。悠、悠くん?ユーイチ。そのうち慣れるからちょっと待ってね」
「おう」とちょっと照れくさそうに笑った大将がちょっとかわいい。
ぎゅうっとしがみつくとお互いのぬくもりが素肌に気持ちいい。
ああ、こんなに幸せなことってあるんだろうか。
結婚も恋愛すらも縁が無いと思ってたわたしに降ってわいた憧れの人との生活。
こんなに愛される日が来るとは思わなかった。
わたしの人生はこの先ずっと仕事とお酒とスイーツとネコと友人で構成されていくのだと思った。
いまやもう彼以外のことは全部些細なこと。
お店のデザートが青汁しかなくてもだ。
いや、それは後々変えていくように話をしようとは思っているけど。
彼と夜を過ごすようになってわたしの酒量は格段に減った。
アルコールは大好きだけど、それよりも彼とちびちびやりながらたくさん話してたくさん笑ってたくさん触れ合いたい。
「マイスィートハニー、やっぱお代わりさせてくれ」
わたしのダーリンにこってりと甘いキスをされ、さっき拒否したことも忘れてこっくりと頷いた。
イレギュラーな恋
終わり


