Cherry Blossoms〜潜入捜査官と天才医師〜
コードブルー
驚いた様子の一花を見て、黒人の男性医師が「知り合い?」と訊ねる。男性はチラチラと桜士を警戒したような目をしていた。その男性の名前もしっかり桜士は把握している。

(ヨハン・ファジル……。ウガンダ出身の小児外科医。二十六歳。父親の仕事の都合で一時期日本にいたため、日本語が話せる。アメリカの医学部に留学し、今は四月一日一花と同じ非常勤の医師……)

「ほら、さっき運ばれて来た患者さんいたでしょ?あの人の手術を一緒にしたの。まさか、また会えるなんて思ってなかったけど」

一花がふわりと笑いながらヨハンに言う。その笑顔にまた胸をギュッと締め付けられる感覚を覚えながら、桜士は脳内にきちんと置かれた情報から一花のものを取り出した。

(四月一日一花……。二十一歳の天才医師。九歳の頃に日本を離れてアメリカに住む叔父の元で暮らし、飛び級で医学部へ進学。救急救命医として活躍している)

一花とヨハンは楽しそうに話している。そこへ、救急科のチーフである黒田庄司(くろだしょうじ)が声をかけてくる。
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