Cherry Blossoms〜潜入捜査官と天才医師〜
欠落した良心
「九条さん、とりあえず言われていたこと調べましたよ〜」

調べてほしいことを依頼した数日後、疲れ切ったような声の十から連絡が入った。そこには、その人物たちの家庭環境などが書かれている。

「ありがとう。よくやった、灰原」

「今度、焼肉奢ってくださいよ〜」

「ああ、行く暇があったらな」

「時間、作ってくださいね!俺めちゃくちゃ頑張ったんで!」

少し元気になった十の「絶対ですよ!」という言葉に適当に返事をし、桜士は電話を切る。その目は真剣そのものだった。

「……一刻も早く拘束しなくては」

物的証拠を送り付け、捜査一課に動いてもらうべきかもしれない。だが、捜査一課が動く前に新たな事件が起きる可能性の方が高い。だからこそ、潜入捜査官がすることは一つだ。

小泉ベビーが殺害されてから数日後、桜士はその人物に接触した。肩を軽く叩き、「こんにちは」と声をかける。

「こんにちは!あっ、本田先生ですよね?前に病棟の方に挨拶に来ていた」
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