Cherry Blossoms〜潜入捜査官と天才医師〜

「君が、介護で人生のどん底に突き落とされてしまったことは、多くの人から同情されるだろう」

「黙れ！！お前になんかに同情されてたまるか！！親に金出してもらって、大学行って医者になったあんたが！！高卒の私のこと馬鹿にしてるんでしょ！？」

雪の蹴りを受け止め、彼女の足を掴んで地面に放り投げる。ナイフがその衝撃で手から離れ、桜士は拘束するため手錠を取り出そうとした。刹那。

「俺たちの邪魔をするなぁぁぁぁぁぁぁぁ！！」

その声と共に、銃声が鳴り響く。桜士は素早く物陰に隠れチラリと顔を覗かせる。そこには猟銃を手にした聖だった。

「……君が彼女に注射の仕方を教えたんだな？」

桜士が訊ねると、「そうだ！」と猟銃に弾を詰めながら聖は言った。

「そいつとは利害が一致してんだ。俺は医者になんかなりたくなかった。患者なんて汚いし、臭え。だけど親が病院で「跡を継げ」ってうるさいから医者になるしかなかったんだよ！！」