Cherry Blossoms〜潜入捜査官と天才医師〜

番外編ニ 楽しい？歓迎会

これは、桜士が榎本総合病院で働き始めて数日後のことである。榎本総合病院の救急科の一室は盛り上がっていた。

「白菜切りますね〜！」

「豚肉と……肉団子も入れるか！」

「俺、キノコ洗いま〜す」

一室に設置されているキッチンにて、一花と庄司、そしてヨハンが調理をしている。その様子を桜士はジッと見つめていた。

ことの発端は、仕事が終わったのでいつも通り桜士が帰ろうとすると、「待て待て〜！本田先生の歓迎会、まだやってないでしょ！？」と庄司が言ったことだ。

「歓迎会って、そんなの別にいいですよ？皆さん忙しいからお疲れでしょうし」

ここで働いているのはあくまで潜入なのだ。人との馴れ合いは必要最低限でいい。そう思っていた桜士はやんわりと断る。その言葉にヨハンが「本人がそう言うなら、いいんじゃないですか？やらなくても」と返す。この時ばかりはヨハンに少し感謝したものの、手を挙げながら一花が言った。

「あの、実は今日皆さんで食べてもらおうと思って、お野菜を家から持ってきたんです……。父が近所の人からたくさんいただいたので」