離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
 翌日。私は昼過ぎに実家に出向き忙しくてなかなか手が回らないであろう水回りの大掃除と料理の仕込みをした。
 メニューはできるだけ日持ちして、かつ栄養のあるものだ。社長ともなると付き合いも増えるだろうし健康が心配だった。

「ふぅ、なかなかいい出来!」

 午後五時。料理がひと段落したところで「美紅~?」と玄関から私を呼ぶ声がした。

「はーい!」

 私が答えるとすぐにリビングの扉が開いて慶一郎おじさんが顔をのぞかせた。

「お邪魔してます。おかえりなさい、慶一郎おじさん。ずいぶん早かったのね」
「あぁ、今日は直帰にしたんだ。おっ、いい匂いだな!」

 キッチンに近づきながら彼は鼻をヒヒクヒクさせる。

「慶一郎おじさんの好きな和食を中心にしたよ。キンピラと豆腐ハンバーグと」

 私はこしらえた料理についてちょっと自慢げに説明する。

「美紅にこのあとの予定がなければ一緒に食べよう。夕食にはちょっと早いがダイエットにはこのくらいの時間がいいと聞いたしな」
「慶一郎おじさんにダイエットは必要ないでしょう?」
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