離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
『ごめん。やっぱり余計なお世話だったよね? でもこのまま放っておいてあちこちに話が広まるのもなぁ~と思って』
「謝らないでよ。教えてもらえて感謝してる! 夕菜の言うとおりだよ。放置していて他社CAとトラブルを起こしてるなんて勘違いされたら困るもの」

 最初はびっくりして言葉もなかったけれどだんだん冷静になってきた。

(桔平さんの恋人という話もうわさでしかないし、この連絡だって桔平さん絡みとはかぎらないわ)

 私は夕菜を安心させるようにあえてのんきな口調で言った。

「会ってみるよ。実は私の落としものを拾ってくれただけとか、そういうオチかもしれないし」

 私は夕菜に彼女の連絡先を聞いて電話を終えた。

「ふぅ」

(桔平さんに連絡して〝小柴さん〟を知っているか聞いてみる?)

 迷ったけれど、フライト前後に彼の心を乱すのはよくないだろうと思って桔平さんに打ちかけたメッセージを削除する。代わりに夕菜から教えてもらった連絡先にメッセージを送る。ひと息つく間もなくスマホが震えてメッセージの受信を知らせた。

「わ、早い」

 私は驚きに目を丸くする。

【ご連絡ありがとう。すぐにでも会いたいのですが、いつ空いていますか?】

 それが小柴さんからの返信だった。すごく積極的な人で二度ほどのメッセージのやり取りで明日の夜に東京第一空港内のカフェで待ち合わせすることになってしまった。
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