離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
「夕菜は仲良くしてるの? 私になんの用事だろう?」
『いや、私も前に一度みんなで食事をしたときに連絡先を交換しただけで……それ以降は全然交流なかったのよ。しかもね、美紅に用があるのは彼女じゃなくて』

 なんだかややこしそうな話だった。だから夕菜はメッセージではなく電話をくれたのかもしれない。夕菜の話によると私に用があるのはJG航空ではなくDLC航空のCAだとのことだった。

「DLC航空の? え~、私はほとんど交流したことないけどな」

 社交的な先輩などは他社CAとも積極的に仲良くなって飲み会やいわゆる合コン的な集まりを催すこともあるようだけど、私は全然したことがない。

『小柴さんって名前で大学時代はミスにも選ばれたことがあるらしくうちの会社内でも結構有名な人なんだけど』
「あぁ、聞いたことあるよ。DLC航空にモデルみたいな美女がいるって。――そういえば以前に……」

 ふいに思い出したことがあった。夕菜は言いよどむような口ぶりで続ける。

「そう。昔、大門機長の恋人だったってうわさがあった人なの。その人が美紅に会いたいと言ってこうやって人づてに連絡を取ろうとしてるのよ」

(桔平さんの恋人だったかもしれない人が私に?)

 私が黙り込んでしまったものだから夕菜が申し訳なさそうな声を出す。
< 129 / 183 >

この作品をシェア

pagetop