離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます～旦那様は政略妻への恋情を止められない～

「大門機長が会社のために仕方なく美紅と……ってことは絶対にない。これは断言できる。だって俺に対してものすごい嫉妬むき出しだったじゃん。大門機長は美紅のことが大好きだよ」
「え、そうなの？」

　夕菜の問いに尊は自信満々にうなずく。それから急に「あ～っ」と大きな声を出す。

「どうかしたの？」

　私は彼に聞く。尊はポンと手を打った。

「思い出した！　小柴美玲ってどこかで聞いたことある名前だなって思ってたんだよ」
「尊、小柴さんのこと知ってるの？」
「ＤＬＣ航空の、ちょっと夜っぽい雰囲気の派手な美人だろ？」

　夜っぽいかどうかはわからず私は答えに迷う。

「美紅と同じくらい長身の！」
「あ、それはそう」

　尊は大きくうなずく。

「俺、一度会ったことある！　だから、美紅が見た写真の子どもは小柴美玲の子じゃないよ」

　私の頭に疑問符が浮かぶ。夕菜も同じようで私たちは顔を見合わせた。

「えーっと。尊くんは小柴美玲に会ったことがある。そのときに彼女から大門機長とは付き合っていないとでも聞いたの？」

　夕菜が頭を整理しながらゆっくりとつぶやく。けれど尊は即座に首を横に振る。

「そうじゃない。大門機長と彼女が過去に関係があったのかどうかまでは俺は知らない。でも、子どもは小柴美玲の子じゃないよ」
「どういう意味？」

　私は首をかしげる。尊がなにを言いたいのかピンとこない。