離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
 桔平さんの両手が私の頬を優しく包む。照れたような笑みで彼はささやく。

「CAの制服に身を包んだ君を見たときにようやく気がついたよ。何年も前に一度言葉を交わしたきりの少女をいつまでも忘れられない理由は恋心だとね。執念深く、しつこく片思いをしていたのは俺のほうだ」

 思いがけない告白に温かな感情があふれて目頭が熱くなった。

「同じだったんですね。私たち……」

 私の頬に添えられている彼の手に自分のそれを重ねる。

「見合いも俺の策略だ。親父がそこに思い至るように俺がさりげなく誘導した。本当は大門家とのつながりなんかなくても慶一郎さんは社長になれていたと思う」

 これも予想もしていなかった打ち明け話で私は目を丸くする。

「――桔平さん、意外と策士だったんですね」

 彼は白い歯を見せて笑う。

「どうしても美紅が欲しかった」

 幸せそうな笑顔が近づいてきて、ゆっくりと唇が触れ合った。

(初めて会ったあの日からこれからもずっと、私の好きな人は桔平さんだけ)
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